ネーム・マングリング

C++ネーム・マングリングは、 関数名および変数名を固有の名前にエンコードして、 リンカーが言語内の共通名を分離できるようにすることです。また、型名もマングルできます。 モジュールをコンパイルする場合、コンパイラーは関数引き数の型をエンコードして、関数名を生成します。 ネーム・マングリングは、多重定義フィーチャーの機能性および異なるスコープ内での可視性を向上させるために、 一般的に使用されています。 ネーム・マングリングは、変数名にも適用されます。 ネーム・スペース内に変数がある場合、同じ変数名が複数のネーム・スペース内に存在できるように、 ネーム・スペースの名前はこの変数名にマングルされます。 C++ コンパイラーは、C 変数が存在するネーム・スペースを識別するために、C 変数名もマングルします。

マングル名を作成する方法は、ソース・コードをコンパイルするために使用する オブジェクト・モデルによって異なります。特定のオブジェクト・モデルを使用してコンパイルされた クラスのオブジェクトのマングル名は、別のオブジェクト・モデルを使用してコンパイルされた 同じクラスのオブジェクトのマングル名とは異なります。オブジェクト・モデルは、コンパイラー・オプションまたは プラグマによって制御されます。

C++ コンパイラーによってコンパイルされたライブラリーやオブジェクト・ファイルを C モジュール にリンクする場合は、ネーム・マングリングを使用すべきではありません。C++ コンパイラーが 関数名のマングリングを行わないようにするには、次の例のように、宣言またはディレクティブに extern "C" リンケージ指定子を適用します。

extern "C" {
   int f1(int);
   int f2(int);
   int f3(int);
};

この宣言によって、関数 f1>、f2、および f3 への 参照をマングルしないようにすることがコンパイラーに通知されます。

extern "C" リンケージ指定子は、C++ 内で定義された関数のマングリングが 行われないようにして、C から呼び出せるようにする場合にも使用できます。 例えば、次のように指定します。

extern "C" {
   void p(int){
      /* not mangled */
   }
};

複数レベルのネストした extern 宣言では 、宣言内部で extern の指定が一般的に用いられます。

extern "C" {
      extern "C++" {
            void func();
      }
}

この例では、func() に C++ リンケージが含まれています。 IBM Copyright 2003