XL Fortran for AIX V8.1.1

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第 15 章 Pthreads ライブラリー・モジュール

Pthreads ライブラリー・モジュール (f_pthread) とは、AIX pthreads ライブラリーとのインターフェースを容易にするための、データ型とルーチンを定義する Fortran 90 モジュールのことです。 AIX pthreads ライブラリーは、ユーザーのコードを並列化し、スレッド・セーフにするために使用します。f_pthread ライブラリー・モジュールの命名規則においては、対応する AIX pthreads ライブラリーのルーチン名またはタイプ定義名の前にサフィックス f_ を使用します。 

AIX バージョン 4.3 以上は、デフォルトの POSIX 1003.1-1996 標準と Draft 7 POSIX pthreads API の両方をサポートします。どちらの呼び出しコマンドを使用するかによって、 POSIX 1003.1-1996 標準または Draft 7 インターフェース・ライブラリーのどちらかで、プログラムのコンパイルとリンクを行うことができます。これを行う方法について詳しくは、「ユーザーズ・ガイド」の『POSIX pthreads API サポートのレベル』、『ld コマンドを使用した 32 ビット SMP オブジェクト・ファイルのリンク』、および『ld コマンドを使用した 64 ビット SMP オブジェクト・ファイルのリンク』を参照してください。

Fortran 90 モジュール f_pthread と、AIX pthreads ライブラリーに含まれているライブラリー・ルーチンとの間には、通常では 1 対 1 の対応関係が存在します。しかし、pthreads ルーチンの中には、AIX ではサポートされていないため、対応するプロシージャーがこのモジュール内にないものもあります。そのようなルーチンの一例としては、thread stack address オプションがあります。さらに、f_pthread ライブラリー・モジュールの中には、非 pthreads インターフェース・ルーチンもあります。f_maketime ルーチンがその一例で、これは f_timespec 派生型変数に絶対時間を戻すために組み込まれています。 

ルーチンの大半は、整数値を戻します。戻り値 0 は常に、ルーチンの呼び出しでエラーが発生しなかったことを示します。値がゼロ以外であれば、エラーがあったことを示します。それぞれのエラー・コードには、対応する Fortran のシステム・エラー・コードの定義があります。これらのエラー・コードは Fortran の整数定数として入手することが可能です。 Fortran でのこれらのエラー・コードの命名方法は、対応する AIX エラー・コード名と一貫しています。たとえば、EINVAL は、AIX におけるエラー・コード EINVAL の Fortran 定数名です。これらのエラー・コードの完全なリストについては、AIX のファイル /usr/include/sys/errno.h を参照してください。

Fortran Pthreads ライブラリー呼び出しに対応するシステム呼び出しの詳細については、AIX オペレーティング・システムの資料を参照してください。 


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