XL Fortran for AIX V8.1.1
ユーザーズ・ガイド
本書は、XL Fortran コンパイラーを使用して作業する必要がある方々を対象としていますが、
AIX オペレーティング・システムに精通し、ある程度 Fortran でのプログラミング経験があることを前提としています。
本書は、コンパイラーの各フィーチャー (特にオプション) について理解し、それらを使用して効率的にソフトウェアを開発する方法を理解するのに役立ちます。
本書は、以下の事項については説明していません。
- インストール
- XL Fortran およびオペレーティング・システムの資料にリストしている資料に記載されています。
- Fortran プログラムの記述方法
- 「XL Fortran for AIX ランゲージ・リファレンス 」に記載されています。
本書の第 1 部は、プログラムのコンパイル、リンク、実行に必要なステップに従って編成されていて、その後に XL Fortran コンパイラーの各機能と、このコンパイラーが作成するプログラムについて説明しています。
第 2 部では、ソフトウェア開発について総括的に説明しています。
経験の程度や目的に応じて、お好きな箇所から読み始めたり、お好きな順序でお読みいただくこともできます。以下に特定の作業を行いたい場合に参照すべき箇所を示します。
- 不特定のユーザーのためにコンパイラーをセットアップしたい場合
- インストール手順の指示が記載されている資料を参照します。
- 古いバージョンの XL Fortran コンパイラーをアップグレードしたい場合
- アップグレードの問題の回避または修正方法を参照します。
- カスタマイズされたコンパイラー・デフォルトを作成したい場合
- 構成ファイルのカスタマイズを参照します。
- すべてのコンパイラー・オプションの用途と、それらのオプションの相互の関連を理解したい場合
- XL Fortran コンパイラー・オプションの概要の該当箇所を参照します。
- 特定のオプションを名前で調べたい場合
- XL Fortran コンパイラー・オプションの詳細記述をアルファベット順に探します。
- プログラムを XL Fortran に移植したい場合
- 互換性を維持するためのオプションを参照して必要なオプションを確認してから、
第 14 章, XL Fortran へのプログラムの移植を参照してその他の移植情報を参照します。
本書では、Fortran ステートメントおよび AIX コマンドの構文を図示するのに、「線路図」とよく呼ばれる表記法を使用しています。コンパイラー・オプションの構文は、「中括弧と大括弧」と呼ばれる表記法を使用して、ステートメントによって図示されています。
Fortran のキーワードは、OPEN、COMMON、
END などのように大文字で記述されます。大文字・小文字の区別がない場合でも、構文図に記述されているとおりに入力する必要があります。
変数名およびユーザー指定の名前は、たとえば array_element_name のように小文字で示されます。
変数名またはユーザー指定の名前が _list で終わっている場合は、これらの項のリストをコンマで区切って指定できることを示しています。
句読記号、括弧、算術演算子、その他の特殊文字は、構文の一部として入力する必要があります。
- 構文図は線の経路に沿って、左から右へ、上から下へ読みます。
- >>--- 記号はコマンドの始まりを示します。
- ---> 記号はコマンド構文が次の行に続いていることを示します。
- >--- 記号はコマンドが前の行から続いていることを示します。
- --->< 記号はコマンドの終わりを示します。
- 完全なステートメントではなく、小さい構文単位で示す図表は、
>--- 記号で始まり、---> 記号で終わります。
- 構造体、インターフェース・ブロック、および派生型定義は、複数の個別のステートメントから構成されています。そのような項目の場合、個々の構文図は、同等の Fortran ステートメントの必須の指定順序を示します。
- 必須項目は、次のように横線 (メインパス) 上に記述されます。
>>-command_name--required_argument-----------------------------><
- オプションの選択項目は、次のようにメインパスの下側に記述されます。
>>-command_name--+-------------------+-------------------------><
'-optional_argument-'
- 複数の項目から選択できる場合は、縦に並べて記述します。
複数の項目から 1 つを選択しなければならない 場合は、縦の並びの中のいずれか 1 つの項目をメインパスに記述します。
>>-command_name--+-required_argument-+-------------------------><
'-required_argument-'
複数の項目からの選択がオプションの場合は、縦の並び全体をメインパスの下側に記述します。
>>-command_name--+-------------------+-------------------------><
+-optional_argument-+
'-optional_argument-'
- メインパスの上側に記述してある左へ戻る矢印 (「反復矢印」) は、繰り返し可能な項目を示し、ブランクでない場合は区切り記号が記述されます。
.-:-------------------.
V |
>>-command_name----repeatable_argument-+-----------------------><
縦の並びの上側にある繰り返し矢印は、縦に並べて記述されている項目から複数の項目を選択できることを示しています。
.-,-.
V |
>>-EXAMPLE--char_constant--+-a-+--+---+----e-+--name_list------><
'-b-' +-c-+
'-d-'
この図表は次のように解釈します。
- キーワード EXAMPLE を入力します。
- char_constant に値を入力します。
- a、b いずれか一方の値のみを入力します。
- オプションとして、c または d のいずれかの値を入力します。
- e に少なくとも 1 つの値を入力します。複数の値を入力する場合は、それぞれの値の間にコンマが必要です。
- name_list に name の値を少なくとも 1 つ入力します。複数の値を入力する場合は、それぞれの値の間にコンマが必要です。
(_list 構文は、先行の e の構文と等しくなります。)
構文ステートメントは、左から右に読みます。
- 個々の必須引き数は、特殊表記を付けずに記述されます。
- { } 記号で囲まれた選択項目からは、1 つを選択する必要があります。
- オプションの引き数は、[ ] 記号で囲まれています。
- 選択項目のグループから選択できる場合は、それらの選択項目は | 文字で区切られます。
- 繰り返せる引き数の後には、省略符号 (...) が示されます。
EXAMPLE char_constant {a|b}[c|d]e[,e]... name_list
次のリストは、構文ステートメントを説明しています。
- キーワード EXAMPLE を入力します。
- char_constant に値を入力します。
- a、b いずれか一方の値のみを入力します。
- オプションとして、c または d のいずれかの値を入力します。
- e に少なくとも 1 つの値を入力します。複数の値を入力する場合は、それぞれの値の間にコンマが必要です。
- name_list に name の値を少なくとも 1 つ入力します。複数の値を入力する場合は、それぞれの値の間にコンマが必要です。
(_list 構文は、先行の e の構文と等しくなります。)
- 本書で使用する例は、ストレージの節約、エラーのチェック、実行の高速化、考えられるすべての実行方法を示すことなどは目的としていないので、簡易にコーディングされています。
- 本書の例では、xlf、xlf_r、xlf_r7、xlf90、xlf90_r、xlf90_r7xlf95、xlf95_r、xlf95_r7、f77、および fort77 コンパイラー呼び出しコマンドは互換可能です。実際のソース・ファイルの場合は、
XL Fortran プログラムのコンパイルに説明されているように、コマンドによっては、他のものより適切なものもあります。
- 本書のサンプル・プログラム、および本書の記載事項を例証しているプログラムの一部は、
/usr/lpp/xlf/samples ディレクトリーに入っています。
本書の用語の中には、次のように、短縮されているものがあります。
- |自由ソース形式フォーマットという用語は、|自由ソース形式と表現している場合があります。
- |固定ソース形式フォーマットという用語は、|固定ソース形式と表現している場合があります。
- XL Fortran という用語は、XLF と表現している場合があります。
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