同期サーバー 管理ガイド


同期オブジェクトの操作

同期オブジェクトの説明

モバイル・デバイス管理センターでは、一連の同期オブジェクト を使用して同期化処理を管理します。同期オブジェクトには、ユーザー組織における同期化処理の様子に関する情報が含まれています。同期オブジェクトには 6 つのタイプがあります。

グループ
類似のモバイル・データ同期を必要とするユーザーのグループ。各グループの同期特性を定義します。たとえば、グループ内のユーザーが、ジョブを実行するためにどのアプリケーションにアクセスする必要があるか、およびエンタープライズ・データのどのサブセットにアクセスする必要があるかを定義します。

ユーザー
ソース (エンタープライズ・システム) とターゲット (モバイル・デバイス) の間でデータの同期をとるために DB2 Everyplace 同期サーバーを使用するユーザー。ユーザーをグループに割り当てて、そのグループのサブスクリプション・セットで定義されているサブスクリプションにアクセスできるようにします。

サブスクリプション
ソース・データベースまたはサーバーにおけるどの情報をターゲット・データベース (モバイル・デバイス上の DB2 Everyplace データベース) に複写するかについての指定。定期的に見たい情報のタイプを選択する雑誌の予約購読のように、サブスクリプションによって、エンタープライズ・データおよびファイルのどのサブセットに対するアクセス権をグループ・メンバーに許可するかを定義することができます。これにより、メンバーがアクセスしたり同期をとることができるのは、このサブセットのデータおよびファイルだけとなるので、セキュリティーおよびパフォーマンスの両方が向上します。ソース・サーバーに保管されているファイル用のファイル・サブスクリプションと、DataPropagator サブスクリプションまたは JDBC サブスクリプションのいずれかを使用しているソース・データベース内の表サブスクリプションの、2 つのタイプのサブスクリプションを作成することができます。

サブスクリプション・セット
サブスクリプションの集合。サブスクリプションで定義されたデータおよびファイルに対するアクセス権をグループ・メンバーに与えるには、 サブスクリプション・セット と呼ばれるコンテナーにサブスクリプションを収集してから、このコンテナー・オブジェクトをグループに割り当てます。この 2 段階の処理によって、グループ・メンバーが必要な情報にアクセスできるようになります。これによってサブスクリプション・セットを束ね、それを必要に応じて複数のグループに割り当てることができるため、管理が簡単になります。

ユーザーは、デバイス上で同期クライアント・ソフトウェアを開始するときに、どのサブスクリプション・セットを同期させるかを選択します。クライアントで表示されるサブスクリプション・セットのメニューは、ユーザーのグループに関連付けられたサブスクリプション・セットのリストから作成されます。

同期中にクライアントがサブスクリプションを正常に同期できなかった場合は、同じサブスクリプション・セットの中の残りのサブスクリプションについては処理をスキップし、次のサブスクリプション・セットで処理を続けます。

ヒント:
異なるサブスクリプションをサブスクリプション・セットにランダムに割り当てるのではなく、密に関連したサブスクリプションをサブスクリプション・セットにグループ化してください。これにより、サブスクリプション・セットでの同期が正常に行われなかった場合のトラブルシューティングが容易になります。

アダプター
同期サーバーと同期をとり、通信するために使用される。アダプターの集合には、同期ファイル、DB2 のリレーショナル・データ、JDBC のリレーショナル・データ、ならびにリモート照会およびストアード・プロシージャー機能が組み込まれています。

ログ
モバイル・データ同期をインプリメントした後、エラー・ログに書き込まれたエラー・メッセージを使用してすべての同期に関する問題をモニターすることができます。ログ活動のモニターは、問題を診断するエラー・ログの表示に説明してあります。

各組織の同期の必要性に合わせて、グループ、サブスクリプション、サブスクリプション・セット、およびユーザーを作成し、編集することができます。ログは表示専用です。

同期オブジェクトが保管される場所

同期オブジェクトの作成、編集、または削除を行うときに、モバイル・デバイス管理センターはこの管理情報を、ソース・システム上に保存された制御データベースに記録します。このデータベースの名前は DSYCTLDB です。DSYCTLDB は予約名です。このデータベースをリネームしたり、DSYCTLDB という名前をシステムにある他のデータベースに使用することはできません。

制御データベースは、インストール時に作成され、同期サーバーがユーザーを認証し、同期要求について何を複写するかを判別するためのサブスクリプション情報を入手するのを助けます。制御データベースはセットアップ情報、および同期オペレーションに関する状況情報を含むため、定期的に管理制御データベースをバックアップするようにしてください。このデータベースにおけるパスワードおよびその他の情報は暗号化されていないため、適切な手順を踏んでこのデータベースを保護してください。

同期オブジェクトの作成

各オブジェクトは異なる入力を必要としますが、モバイル・デバイス管理センターにおける同一の基本プロセスを使用してすべてのオブジェクトを作成します。オブジェクトは、オブジェクト・ツリーから、または別のオブジェクトを処理しているときに作成することができます。

オブジェクト・ツリーからのオブジェクトの作成

同期オブジェクトを作成するには、次のようにします。

  1. オブジェクト・ツリーにおいて、作成するオブジェクトのタイプに対応するオブジェクト・フォルダーを右マウス・ボタンでクリックします。
  2. Create (作成)」を選択します。サブスクリプションを作成する場合は、サブメニューが表示されます。作成するサブスクリプションのタイプに応じて、「File subscription (ファイル・サブスクリプション)」、「Table subscription (表サブスクリプション)」、または「Custom subscription (カスタム・サブスクリプション)」を選択します。

ノートブックの表題にオブジェクト・タイプが表示された「Create (作成)」ノートブックが、オープンします。

各オブジェクトのノートブック・ページを完了させる方法の詳細については、次のトピックのいずれかを参照してください。

オブジェクトを保管した後に、オブジェクトを編集して完成させたり、変更したりできます。詳細については、同期オブジェクトの編集を参照してください。

別のオブジェクトで作業している場合の新規オブジェクトの作成

モバイル・デバイス管理センターでは、ワークフローを妨げることなく関連オブジェクトの新規同期オブジェクトを作成することができます。たとえば、訪問看護婦と名付けられたグループの特性を編集しているときに、働き始めたばかりの新しい看護婦を追加する必要があることに気付く場合があります。この場合、「Edit Group」ノートブックを離れることなく、「User (ユーザー)」ページの「Create (作成)」をクリックして「Create User (ユーザーの作成)」ノートブックをオープンし、そこで新しい看護婦を追加して、その看護婦を訪問看護婦グループに割り当てることができます。

コンテンツ・ペインにおけるオブジェクトの表示

オブジェクトを作成した後は、そのオブジェクトに関する情報はコンテンツ・ペインに表示されます。コンテンツ・ペインにオブジェクトを表示するには、オブジェクト・ツリーでフォルダーを選択します。

表示される情報

現在オープンしているフォルダーによって、コンテンツ・ペインに表示される列は異なります。列見出しはここでアルファベット順に表示されます。

アダプター
このフィールドには、サブスクリプションで使用されるアダプターが表示されます。

カスタマイザー・クラス名
このフィールドには、カスタム・アダプターの Java クラス名が表示されます。

データ・フィルター
このフィールドは、ユーザーまたはグループに対してデータ・フィルターを設定した場合は Yes を表示し、データ・フィルターが設定されていない場合は No を表示します。

記述
このフィールドは、オブジェクトを作成したときにオブジェクトに付けた説明を表示するもので、ログ以外のすべてのオブジェクトの場合に表示されます。

デバイス・タイプ
このフィールドには、ユーザーに対して登録されたデバイスのタイプが表示されます。モバイル・デバイス管理センターを使用してこの情報を入力することはできません。DB2 Everyplace 同期サーバーは、ユーザーがデバイスを登録するときにデバイス・タイプを入手します。

使用可能
このフィールドは、グループまたはユーザーが同期について使用可能になっている場合は Yes を表示し、使用可能になっていない場合は No を表示します。 (同期についてグループまたはユーザーを使用可能にする場合の説明については、同期の使用可能化および使用不能化を参照してください。)

暗号化レベル
このフィールドには、データ転送時に使用される暗号化レベルが表示されます。

グループ
Users (ユーザー)」フォルダーが選択されている場合、このフィールドには、ユーザーが割り当てられているグループの名前が表示されます。「Subscription sets (サブスクリプション・セット)」フォルダーが選択されている場合、このフィールドには、サブスクリプション・セットに関連しているグループの数が表示されます。

名前
このフィールドは、オブジェクトを作成したときにオブジェクトに付けた固有の名前を表示するもので、ログ以外のすべてのオブジェクトの場合に表示されます。

署名
このフィールドには、アダプターで使用されるシグニチャーが表示されます。

サブスクリプション
このフィールドには、サブスクリプション・セットに割り当てられたサブスクリプションの数が表示されます。

サブスクリプション・セット
このフィールドには、グループまたはサブスクリプションに関連付けられたサブスクリプション・セットの数が表示されます。

同期状況
このフィールドには、ユーザーの同期状況が表示されます。同期状況を取り込むには、ユーザーを選択して右マウス・ボタンでクリックしてから、「Synchronization status (同期状)」を選択します。表示される状況はリアルタイムのもので、同期セッションがこれから開始するのか、進行中か、あるいは完了したかを示しています。

タイプ
このフィールドには、サブスクリプションのタイプが表示されます。

ユーザー
このフィールドには、グループに割り当てられたユーザーの数が表示されます。

表示の最新表示

オブジェクトに変更を加える場合は、それらの変更内容はすぐにはコンテンツ・ペインに表示されません。オブジェクト・フォルダーの内容を最新表示するには、次のようにします。

  1. オブジェクト・フォルダーを右マウス・ボタンでクリックします。
  2. Refresh (最新表示)」を選択します。

コンテンツ・ペインのフィルター操作

フォルダーに複数の同期オブジェクトが存在する場合は、必要なものを簡単に探せるようにフォルダーの内容をフィルター操作する必要があります。フォルダーの内容をフィルター操作すると、入力した検索基準に応じて、内容のサブセットが表示されます。

フォルダーの内容をフィルター操作するには、次のようにします。

  1. オブジェクト・フォルダーを右マウス・ボタンでクリックします。
  2. Filter (フィルター)」を選択します。選択したオブジェクト・フォルダーのコンテンツ・ペインに列見出しを表示した「Filter (フィルター)」ノートブックが表示されます。列によっては、フィルターに掛からないものがあります。
  3. 「search (探索)」ページの「Values (値)」フィールドにおいて、検索基準を入力します。

モバイル・デバイス管理センターは、指定したフィルター基準を満たすオブジェクトのみを表示します。あるオブジェクトのフィルターを設定した後で、オブジェクトのすべてのエレメント、またはツリーにおけるすべてのオブジェクトを表示するには、フィルターと明示的に消去しなければなりません

オブジェクト・フィルターについての詳細は、DB2 コントロール・センターのオンライン・ヘルプを参照してください。

コンテンツ・ペインのソート

必要なものを迅速に探す別の方法に、コンテンツ・ペインの列をアルファベット順にソートするという方法があります。

列をソートするには、列見出しをクリックします。システムは、現在選択されている列に応じてデータ行をアルファベット順に再配置します。

同期オブジェクトの編集

同期オブジェクトを管理制御データベースに保管した後で、オブジェクトを編集モードでオープンして、情報の追加または変更を行うことができます。

オブジェクトを編集するには、次のようにします。

  1. オブジェクト・ツリーにおいて、編集するオブジェクトのタイプに対応するオブジェクト・フォルダーをオープンします。フォルダーの内容が、コンテンツ・ペインに表示されます。
  2. コンテンツ・ペインにおいて、編集するオブジェクトを右マウス・ボタンでクリックします。
  3. Edit (編集)」を選択します。ノートブックの表題にオブジェクト・タイプが表示された「Edit (編集)」ノートブックがオープンします。「Edit (編集)」ノートブックは、オブジェクトの「Create (作成)」ノートブックと同じフィールドがすべて入っています。特定のページおよびフィールドについては、編集するオブジェクトのタイプのセクションを参照してください。

オブジェクトの削除

モバイル・デバイス管理センターで任意のオブジェクトを削除することができます。ただし、オブジェクトを削除する前に、ユーザーの同期セッションに与える影響を考慮に入れる必要があります。オブジェクトの削除が同期セッションの失敗の原因にならないか。原因になる場合は、削除によって影響を受けたオブジェクトは自動的に使用不可になります。 (詳しくは、同期の使用可能化および使用不能化を参照してください。)

オブジェクトを削除するには、次のようにします。

  1. モバイル・デバイス管理センターのオブジェクト・ツリーにおいて、編集するオブジェクトのタイプに対応するオブジェクト・フォルダーをオープンします。
  2. コンテンツ・ペインにおいて、削除するオブジェクトを右マウス・ボタンでクリックします。複数のオブジェクトを連続して選択するには、Ctrl キーを押しながら選択します。隣接する複数のオブジェクトを選択するには、シフト・キーを押しながら選択します。
  3. Delete (削除)」を選択します。「confirmation (確認)」ウィンドウが、削除用に選択したオブジェクトを表示します。保持するアイテムの「Delete (削除)」チェック・ボックスを消去します。
  4. OK」をクリックします。

オブジェクトを削除する場合は、その情報は自動的に管理制御データベースから削除されます。サブスクリプションを削除する場合は、そのサブスクリプションに関連したミラー表が自動的にミラー・データベースからも削除されます。


ユーザーおよびデータの管理

本章では、ユーザー・グループのセットアップ、およびグループのデータおよびファイル複写の構成を行うために、どのようにモバイル・デバイス管理センターを使用するかを説明します。以下のトピックについて説明します。


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