ClearCase Web インターフェイスを使用する前に、以下のソース管理の概念を理解することが重要です。
VOB (バージョン付きオブジェクト ベース) とは、ファイル、ディレクトリ、メタデータを格納するパーマネント データ リポジトリです。ClearCase の管理下にあるファイルとディレクトリはエレメントと呼ばれます。
通常、VOB には、エレメントのすべてのバージョンとそれぞれのバージョンを表すラベルやチェックアウト コメントなどのメタデータが含まれます。どのプロジェクトについても、ClearCase 管理者がプロジェクト データをどのように扱うかによって、複数の VOB のエレメントへのアクセスが必要な場合があります。
ClearCase Web インターフェイスを使用し、エレメントをダウンロードしてアクセスする (読み込みアクセス専用の場合) か、またはチェックアウトしてアクセスします。ClearCase に、VOB からビューの場所にある VOB のローカル イメージにエレメントのバージョンをコピーするように指示します。
ビューは、ファイルのバージョンと VOB にアクセスすると表示されるディレクトリ エレメントを選択するフィルタです。1 つのエレメントに複数のバージョンがある場合もあります。たとえば、製品のリリース 2.1 を作成するために使用したエレメントのバージョンだけを表示するビューを作成することもできます。
ClearCase Web インターフェイスで VOB にアクセスする場合、表示されるエレメントは使用しているビューによって選択されます。VOB にアクセスするには、最初にビューを設定する必要があります。ビューを設定すると、VOB のエレメントは他のディレクトリであるかのように表示されます。
Web インターフェイスで使用されるビューは、ビューの場所と呼ばれるローカルの作業記憶ディレクトリに関連付けられます。ビューの場所は、ClearCase Web セッションの起動時に割り当てます。エレメントをダウンロードまたはチェックアウトする場合、アクセス先の VOB のディレクトリ構造と同じディレクトリ構造のコピーがビューの位置に格納されます。エレメントをチェックアウトすると、変更内容を VOB に格納するまでは ClearCase を使用せずに作業することができます。
UCM (Unified Change Management: 統一変更管理) ビューを使用している場合は、アクティビティのセットに関連付けられます。VOB のエレメントにアクセスするには、ビューに関連付けられたアクティビティ タイプを選択する必要があります。
エレメントとは、複数のバージョンを保持する ClearCase のファイルまたはディレクトリです。エレメントのバージョンは階層構造のバージョン ツリーに論理的に編成されており、複数のブランチやサブブランチを含む場合もあります。
ClearCase はエレメントのバージョンをバージョン ツリーに整列させます。バージョン ツリーにはブランチがあります。バージョン ツリーの各ブランチは、独立した開発ラインを表します。たとえば、ブランチによって、バグ修正、テスト、次のリリースのプロダクトの早期開始などのタスクを切り離すことができます。
バージョンには、エレメントの特定リビジョンが実装されます。エレメントのバージョンはバージョン ツリー構造に編成されています。エレメントのバージョンは、バージョン拡張パス名を使用して指定されます。バージョン拡張パス名には VOB 内のエレメントのパス名とバージョン ツリー上の場所が含まれています。たとえば、VOB ディレクトリ \product\src\ の /main 開発ブランチにある module.c のリビジョン 4 にアクセスするには、バージョン拡張パス名 \product\src\module.c@@/main/4 を使用します。
エレメントの個別のバージョンをメタデータのさまざまな項目に関連付けることができます。このような項目をバージョンのプロパティと呼びます。メタデータのタイプには、ラベル、属性、ハイパーリンクがあります。バージョンの重要なプロパティの一つに、先行バージョンの名前があります。通常、あるエレメントの n 番目のバージョンの先行バージョンは、(n-1) 番目のバージョンです。サブブランチの最初のバージョンの場合 (/main/branchname/0)、先行バージョンは作成されたブランチのエレメントのバージョンになります。
ラベルとは、エレメントの特定のバージョンに対してユーザーが定義した名前です。たとえば、ラベルを REL2 と定義して、製品のバージョンのリリース 2 を構成するすべてのエレメントに適用することを表します。
エレメントに関連付けられているラベルを表示するには、ClearCase Web インターフェイスで [ClearCase プロパティ] ツールを開始します。ラベルを作成または修正するには、固有の ClearCase GUI またはコマンド行インターフェイスを使用する必要があります。
ハイパーリンクとは、同じ VOB または異なる VOB の 2 つのオブジェクトを接続する、ユーザーが定義した論理関係です。ハイパーリンクのどちらの先にもテキスト文字列で注釈を付けることができます。一般に、ハイパーリンクは要求を追跡するために使用します。
たとえば、新しいアルゴリズムを実装するソース モジュールのバージョンは、そのアルゴリズムを記述する設計文書のバージョンに、DesignFor ハイパーリンクによって論理的に接続されます。これ以降、両方のエレメントのバージョンは、明示的にリンクされたバージョンの接続を暗黙的に継承します。
エレメントに関連付けられているハイパーリンクを表示するには、ClearCase Web インターフェイスで [ClearCase プロパティ] ツールを開始します。ハイパーリンクを作成または修正するには、固有の ClearCase GUI またはコマンド行インターフェイスを使用する必要があります。
属性とは、名前/値のペアの形式でユーザーが定義した注釈です。属性はさまざまな種類のオブジェクトに関連付けることができます。属性の例を以下に示します。
属性には複数のアプリケーションがあります。たとえば次のような機能があります。
エレメントに関連付けられている属性を表示するには、ClearCase Web インターフェイスの [プロパティ] ツールを開始します。属性を作成または修正するには、固有の ClearCase GUI またはコマンド行インターフェイスを使用する必要があります。
ClearCase では、エレメントとすべてのバージョンへのアクセスがユーザー/グループ/その他の権限モデルによって制御されています。ClearCase は、ユーザーがエレメント上で ClearCase の操作を実行する場合にこの権限モデルを適用します。
ClearCase Web インターフェイス を使用する場合、これらの権限はビューが ClearCase サーバー上で VOB と相互作用する場合にだけ適用されます。たとえば、ファイルをチェックアウトする場合やバージョンのプロパティを検索する場合にこれらの権限が適用されます。
エレメントは特定のユーザー (最初はオブジェクトを作成したユーザー) に所有されており、特定のグループに属しています。エレメントのバージョンをチェックアウトするなどの特定の ClearCase 操作を実行するには、ユーザーはそのエレメントが所属するグループと同じグループのメンバーであることが必要です。
エレメントに関連付けられている権限を表示するには、ClearCase Web インターフェイスを使用して [ClearCase プロパティ] ツールにアクセスします。権限を作成または修正するには、固有の ClearCase GUI またはコマンド行インターフェイスを使用する必要があります。